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理化学研究所の発明品

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理化学研究所創立100周年記念切手(82円切手5種類)が2017年(平成29年)4月26日に発行されました。その中から「黎明期の理化学研究所の製品」を描いた切手をご紹介します。

「Vitamin A」と描かれているのが「理研ヴィタミン」、「Piston Ring」と描かれているのが「ピストンリング」、「Ultrazin Glasses」は「ウルトラジン眼鏡」、「IM-Fontactoscope」は「アイエム泉効計」、「Alimite」は「アルマイト製品(レコード盤)」を示しています。

何のことだかわからないものが多いですね。

理化学研究所は1917年(大正6年)に財団法人として設立されました。第二次世界大戦後の1948年、GHQにより解散させられ、株式会社として再出発、1958年(昭和33年)に特殊法人となり、現在は「国立研究開発法人理化学研究所」となっています。

1) 「理研ヴィタミン」
1922年鈴木梅太郎研究室の高橋克己がタラの肝油からビタミンAを分離することに成功、翌1923年に「理研ヴィタミン」として商品化します。製薬会社ではなく理化学研究所自らが製造販売し、研究資金を稼いだ画期的なものです。今日「理研ビタミン株式会社」がありますが、この会社は「理研ヴィタミン」を製造販売するために作られた会社でした。
切手には、理研ヴィタミンの瓶のシルエットが描かれています。

理研88年史によると、理研ヴィタミンは理研の研究予算の半分を稼ぎ出してくれたとされています。

理研88年史
http://www.riken.jp/pr/publications/riken88/
http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/publications/riken88/riken88-1-2.pdf

2) 「ピストンリング」
ピストンは、内燃機関(エンジン)の中心となる部品で、シリンダ内で空気の圧縮・膨張を伝える役割をしています。そのピストンの周囲に取り付けられ、シリンダと接触する部品がピストンリングです。
1926年大河内研究室の海老原敬吉により「シリンダ内壁に対し均一な圧力を及ぼすピストンリングの製造法が発明され、各国の特許を取得」します。翌1927年に理化学興業株式会社を設立し、ピストンリングの実用化を開始します。理化学興業からは、製品ごとに会社が分離独立し、「理研ピストンリング」が1934年に設立されます。
今日ある「株式会社 リケン」が、この流れを組んでおり、ピストンリングの製造も継続しています。

リケンのウェブサイト
http://www.riken.co.jp/know/history.html

3) 「ウルトラジン眼鏡」
ウルトラジンは紫外線吸収材料(有機化合物)の製品名です。ウルトラジン眼鏡は要するにサングラスのことですが、スキー用のゴーグルも作っていたそうです。
鈴木庸生研究室の桜井季雄により開発され、1935年設立の理研ウルトラジン光業所がその製品化を担いました。
今日では「株式会社理研オプテック」が産業用ゴーグルの製造を行っています。

理研オプテックのウェブサイト
http://rikenoptech.com/corporate/history

桜井季雄は1927年の陽画感光紙の発明が有名で、理研感光紙の設立を経て今日の「株式会社リコー」につながっています。

4) 「アイエム泉効計」
理化学研究所の飯盛里安氏によって、水中のラドン測定用に1917年に開発され、理研が販売していたものです。温泉成分の分析に今日でも使用されるそうです。切手のシルエットはこのIM泉効計と思われます。

5) 「アルマイト製品(レコード盤)」
アルマイトとは、金属アルミニウムに酸化被膜を施す処理のことを指しますが、転じてアルマイト処理を施した材料そのものもアルマイトと呼びます。
1929年に鯨井研究室の宮田聡によりアルマイトの酸化被膜の多孔性をなくす開発が成功、この処理に「アルマイト」という名前を付けました。前年の1928年には静岡にアルマイト処理の工場を設立、普及を開始、関連企業として「理研アルマイト工業」を作っています。
切手は、レコード盤を描いていますが、アルマイトは弁当箱、アルミ箔など様々な分野に用いられてきました。

理研News(2005年5月号)
http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/publications/news/2005/rn200505.pdf

理化学研究所は、物理・化学の基礎研究機関であるとともに、3代目所長の大河内正敏の下で研究成果の実用化を強力に進め、理研コンツェルンと呼ばれるほどにたくさんの会社を作り、今日でも日本の産業を支えていることがわかります。

●関連ウェブサイト

理化学研究所
http://www.riken.jp

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